TFT思考場療法

鍼灸のツボを使う心理療法です。

・道具は要らない（鍼・灸をつかわず、指でツボをトントンします）

・自分でする（向かい合ってまねしてもらう、すぐに覚えられます）

・時間がかからない（２分ぐらい）

療法を知ってまだ一年ほどですが、私自身がとても改善された体験から、もし苦しみを持っておられる方がおられたら、お役に立ちたいとずっと思っています。

まず知ってもらいたいと、これまで、おはなし会をしたり、治療メニューを設けたり、チラシを作ったりしてきました、

そこで症例として自分の経験を書いてみようと思いました。

あまり重い話を出すべきではないのですが、やってみようかなと思うきっかけになれたらいいなと思い書きました。

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子どもの時に受けたしつけの身体的暴力の記憶が、フラッシュバックして苦しい状態が、三十代後半で急に起こりはじめました。

（※フラッシュバック

過去の出来事が、ただの思い出としてではなく、まさに今起こっているかのように感じる。その時の感情だけでなく、痛み、風景、感覚などが感じられることもある。）

実家がその場所だったので、実家に帰れなくなりました。帰らなければと思うのに、どうしても帰れなくて、自己嫌悪で自分を責めました。痛みのあるフラッシュバックが、突然に起こるので、苦しんでいました。

５年たっても治らないので、精神科に行きました。朝起きれて、家を出れて、仕事が出来ているので、症状としては軽いと知りました。もっとつらい方がたくさんいるのだと気が付いて、この程度で来てしまったと思ったけど、先生が、実家には帰りたいと思うまで帰らなくていい、とはっきり言ってくださってボロボロに泣きました。

実家に帰れないまま、フラッシュバックも変わらないまま、たまに実家が関わると激しく悪化したり、でもほぼ同じ状態で過ごしていました。

昨年２月、鍼灸のツボを使う心理療法があると知りました。TFT思考場療法でした。それまでに、心理学を色々調べて、少しずつ心理の世界をのぞいていましたが、いまから大学に行くのはあきらめていました。サイトでは鍼灸師でも学べるとあり、さっそく受講しました。

昨年３月、講座は衝撃でした。なんと、その場でフラッシュバックの痛みが4分の一になったのです。道具は何もいらず、鍼灸のツボを指でトントンと刺激するだけなのに変化にびっくりして、なぜこんなに良くなったのか、興奮でもっと勉強したい、と思いました。

昨年６月、身内の不幸があり、実家に帰りました。受講していなかったら、気持ちがぶっ壊れていたと思う、お別れに行けたことはよかったけど、常に怖かったです。そして、次の日、殺される虐待の感覚を思い出しました。

昨年９月、仕事の中でTFT思考場療法を使えるようになる資格を受けに行きました。一段上の踏み込んだ心理学の講座で、基礎知識が無いことを痛感しながらも、とても勉強になりました。私は講座の実技で、ものすごいフラッシュバックが現れました。抑え込んでいなければ生きられなかった記憶が奥にあって、心理はそこに触ることが出来て、場合によってはこんな危険があるのだと身を以て知りました。その場には、心理のすごい先生がおられて、色々な鍼灸のツボをトントンした後、体を動かす指示をくださって、落ち着ていくという体験もできました。

その後、抑え込んでいた記憶が動き始めたからか、違う場面のフラッシュバックが次々に出てきましたが、先生が対処法を教えてくださっていたので、苦しみは長引かなくて済んで、その効果を何度も実感しました。

私はこの体験から、長い間ずっとフラッシュバックに苦しんでいる方がおられたら、お役に立ちたいと強く思っています。

TFT思考場療法は、「トラウマのトゲを抜く」ことができます。トゲが刺さっているから痛い、刺さったままだから治らない、皮膚に刺さったトゲで考えても、分かりやすいです。

この心理療法をしても、記憶は消えません。過去にあったこととしての、普通の他の記憶のように、激しい動揺や苦痛を伴わない、ただの記憶になります。

心理療法をしたからと言って、葛藤がなくなるわけではありません。問題を水に流せるわけではありません。でも、トゲが痛すぎて何も考えられなかった状況から、少しずつ考えられるようになりました。

苦しい状況が続いておられて、何とかしたいと思っておられる方に、何かのお役に立てたらと思っています。トゲを抜いて、痛みが落ち着いたら、思考は変わります。選択肢が増えます。

精神科に行ってみるのも大事です。先生の言葉は大きかったです。病因が分かれば、薬で治療できるかもしれません。